ウェールズの英語 ウェルシュ・アクセント(Welsh accent)とは?
- 2020.08.29
- イギリス英語のアクセント 英語の発音、アクセント

英語学習者、留学予定者
ウェールズに興味があるんだけど、
「どんな英語のアクセント(訛り)があるの?」
「普通のイギリス英語との違いを知りたいな」
「動画などもあったら見てみたいな」
こんな質問に答えます。
・ウェールズの英語にはどんなアクセントがあるのか?
・ウェールズの英語の発音の特徴
標準的なイギリス英語の発音との比較と単語例
・ウェールズの英語が分かる動画やサイト
【 はじめに 】
イギリス英語を私たちが学ぶ場合は、RP(received pronunciation)と呼ばれる英語を学びます
(いわゆるイギリス英語の標準語です)
ですが、実はイギリスの地域によって訛り(アクセント)はあり、発音は大きく異なってきます。
例えば留学した際など、語学学校の外で人々が話している発音は、違っていたりします。
ウェールズ(Wales)はイギリスの西部(イングランドの西隣)にあり、ウェールズで話されている英語には独自のアクセントや表現もあります。(ウェルシュ・アクセント)
今回は、このウェールズで話されている英語のアクセントについて、ポイントを簡単にご紹介します。(この記事は発音が中心です)
ウェールズへ留学されるかた、赴任される方、またイギリス英語に興味のある方は、是非読んでくださいね。
・イギリス英語のコックニー・アクセント(Cockney accent)ってどんな発音?
・スコットランドの英語アクセントはどんな特徴があるの?
・「アイルランドの英語発音」にはどんなアクセントの特徴があるの?
ウェールズの英語 ウェルシュ・アクセント(Welsh accent)とは?

首都はカーディフでロンドンから電車で2時間くらいの所に位置しますが、独自の文化と言語を持っており、ウェールズで話される英語はイギリスの標準的な発音(RP)と異なった、アクセントを持っています。
※RPはReceived pronunciation(容認発音)と言われ、BBC放送などで話されるいわゆるイギリスの標準英語で、外国人が勉強するときに習う英語です。
ウェールズは、かつてグレートブリテン島に広く住んでいたケルト系ブリトン人の子孫で、ウェールズで話されるケルト語がウェールズ語(Welsh)です。
英語もウェールズでは公用語ですが、このウェールズ語の影響を受けていると考えられます。
>>ウェールズの場所
ウェルシュ・アクセントの特徴は端的に言うと、歌うように話す、母音を強調するためにやや長めに発音する、などがあります。
具体的な発音について、日本人にも分かりやすいように、ポイントをご紹介します。
✅参考記事(僕の別サイト)
>>ウェールズ語ってどんな言語 ウェールズ語の歴史、表現、学べるサイト
ウェルシュ・アクセントの発音の特徴

「r」の音は舌を震わせる
ウェルシュ・アクセントの大きな特徴の1つが「r 」 の発音です。
イギリスの標準発音(RP)では、単語の最初の「r」は舌を巻きますが、単語の最後の「r」は舌を巻かず、音を伸ばします。
しかし、ウェルシュ・アクセントでは、スペイン語の「r」のように、舌を震わせながら発音します。2~3回くらい軽めに震わせる感じです。
例えば以下のような単語です。
単語 | |
bright ⇒ brright brrright こんな感じ | |
roll ⇒ rroll rrroll | |
heard ⇒ hearrd hearrrd |
✅参考記事
アイルランドやスコットランドも舌を巻きますがちょっと異なります
>>「アイルランドの英語発音」にはどんなアクセントの特徴があるの?
>>スコットランドの英語アクセントはどんな特徴があるの?
「j」の音を落として発音する
「j」の音を落とした発音は、ウェルシュ・アクセントの大きな特徴です。
これは他のイギリス英語では見られない独特な点です。
単語 | ウェールズの発音 |
use 「ju:z」ユーズ | 「u:z」 ウーズ |
news 「nju:z」ニューズ | 「nu:z」 ヌーズ |
few 「fju:」フュー | 「fu:」 フー |
tube 「tju:b」テューブ | 「tu:b」 トゥーブ |
「j」の音を入れて発音する場合もある
ウェルシュ・アクセントでは、逆に「j」の音を入れて発音する場合もあり、とても特徴的です。
単語 | ウェールズの発音 |
fire 「faiə」ファイア | 「faijə」 ファイユァ |
power 「pάʊə」パウア | 「pάʊjə」パウユァ |
here 「híə」ヒア | 「híjə」 ヒユァ |
tube 「tju:b」テューブ | 「tu:b」 トゥーブ |
「i イ」の発音が「e エ」になる
イギリスの標準発音(RP)では「i イ」の発音が、ウェルシュ・アクセントでは「e エ」となる場合があります。そして、やや長めに強調して発音する傾向もあります。
単語 | ウェールズの発音 |
bit(ビット) | べエット |
going(ガウインŋ) | ゴーエン |
kit(キット) | ケエット |
「əʊ、アウ」の発音が「o: オー」になる
イギリスの標準発音(RP)では「əʊ、アウ」の発音が、ウェルシュ・アクセントでは「o: オー」または「oʊ」となる傾向があります。
単語 | ウェールズの発音 |
go 「gəʊ」ガウ | 「go:」 ゴー |
over「əʊvə」アウヴァ | 「o:vε」オーヴェ |
goat「gəʊt」ガウト | 「go:t」ゴート |
” ing “の「ŋ」の発音は「n」と発音する
ingなどの「ng」の発音は、PRを含むイングランド南部のアクセントでは、のどの奥を閉じて発音する「ŋ」と発音します。ンの鼻に抜ける発音で「軟口蓋鼻音」と呼ばれています。
一方、ウェルシュ・アクセントでは「g」の発音を落として、舌先を歯の裏側につける「n」の発音になります。
これは、イングランド南西部やイングランドの北部も同じ傾向にあります。
✅参考記事(工事中)
>>マンチェスターの訛り「マンチェスター・アクセント」
>>イングランド南西部の英語 ウェストカントリー・アクセント(West Country accent)とは?
※日本語では「ŋ」は表現しにくいので、そのまま書きました。
単語 | ウェールズの発音 |
walking(ウォーキンŋ) | ウォーキング |
going(ガウインŋ) | ゴーエン |
steaming(スティーミンŋ) | スティーミン |
morning(モーニンŋ) | モーニン |
その他の特徴的な発音
その他のウェルシュ・アクセントに特徴的な発音を簡単にご紹介します。
◆「ə ア」が「ɛ エ」の発音になる
ウェルシュ・アクセントの全体の傾向で、RPで「ə ア」の音が「ɛ エ」の発音になるケースが多くみられます。
RPの「ə ア」の発音は、口は中くらいに開けて、舌の位置も真ん中くらいのリラックスした「ア」ですが、もう少し舌の位置を前に出して下げた状態で発音する傾向があるようです。そうすると「ɛ エ」のような発音になります。
「e エ」よりも口は小さく開けた状態です。
<例>
ago「əgəʊ(アガウ) ⇒ ɛgo(エゴー) 」、 letter「 letə(レタ) ⇒ letɛ(レテ)」などの単語です。
◆単語の最初の「h」は発音しない場合がある
ウェルシュ・アクセントでは単語の初めの「h」を発音しない場合があります。これはイングランド南部でもよく見られる傾向です。
<例>
have(ハヴ ⇒ アヴ)などです。
◆「æ、ア」の発音が「a: アー」になる
ウェルシュ・アクセントは、長めに発音する場合が多いようです。これは、イングランド南部でも見られる傾向です。
<例>
cat(キャット ⇒ カート)、bath(バス ⇒ バース)などです。
◆「u: ウー」の発音が「ʊ ウ」
「u: ウー」の発音がウェルシュ・アクセントでは「ʊ ウ」のようになる単語も見られます。
<例>
goose(グース ⇒ グス)、tooth (トゥース ⇒ トゥス)などです。
ウェルシュ・アクセントが分かる動画やサイト
最後にウェルシュ・アクセントが良く分かる動画とサイト紹介します。今回の記事は、主にウェブサイトを参考にしています。
参考動画:
>>How To Speak With A Welsh Accent
>>School Of British Accents – WELSH ENGLISH
>>The sound of Wales
参考サイト:
>>How to Speak with a Welsh Accent
>>Welsh English
>>Pronunciation model: Welsh English
>>Wesh English(Wiki)
最後に一言
いかがでしたでしょうか?
ウェールズのアクセントは通常のイギリス英語の発音と大きく異なることが、お分かりになったでしょうか。
日本もそうですが、イギリスの狭い範囲でも多くのアクセントがあり、とても興味深いですね。
もしウェールズの英語発音に興味を持たれたら、チャレンジしてみてくださいね。
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