さまざまなイギリス英語の「r」の発音(昔はアメリカ英語のように発音していた?)
- 2020.12.30
- イギリス英語のアクセント 英語の発音、アクセント 英語雑学

英語学習者
イギリス英語でも「r」の発音はいろいろあるって聞いたんだけど、どんな「r」の発音があるのか、知りたいな。アメリカ英語の「r」ともどう違うのかな。
こんな質問に答えます。
・イギリス英語の標準的な「r」の発音:アメリカ英語との違いは?
・イギリス各地の「r」の発音:どの地域でどんな「r」の発音があるの?
・実はイギリスでもアメリカ英語のように「r」を発音していた?
ほぼ毎日英語を使って仕事をしている「あきら」が、イギリスに留学した経験、さまざまなオンライン英会話の経験、15年以上英語を勉強した経験を通して、英語に関する役立つ情報をご紹介しております。
◆ まえがき ◆
「r」の発音って、日本語に無い発音なので、なかなか日本人に馴染めないかもしれません。
ですが、イギリス英語の「r」は、あまり舌を巻かないケースが多いので、アメリカ英語に比べると、日本人にとって発音しやすいという人もいます。
ですが、イギリスの中でも地方によって、「r」の発音は大きく異なり、一概には言えないんじゃないかと思います。
という訳で、今回はイギリスの各地にある「r」の発音についてご紹介します。ご興味があったら、どの「r」の発音がやりやすいか、試してみてくださいね。
英語の発音に興味ある方に読んでほしいと思います。
・イギリス英語を学ぶおススメの方法(YouTube、映画、ポッドキャスト、オンライン英会話)
・イギリス英語の発音 さまざまなブリティッシュ・アクセント(まとめ)
・英語の発音を無料動画で学べるおススメのアプリ

さまざまなイギリス英語の「r」の発音(実はアメリカ英語のように発音していた?)

「r」の発音:イギリスの標準的な発音(RP)とアメリカ英語の違い
まずは、イギリスの標準的な「r」の発音です。イギリスの標準的な発音とは、received pronunciation(PR、容認発音)と呼ばれており、以下RPと表現します。
「r」の発音は、日本語の「ラ」を発音しているときの舌の位置よりもっと奥に引いて、舌が宙に浮いている状態で発音します。この発音の方法は、RPとアメリカ英語には大きな差はないと思います。
しかし、RPとアメリカ英語の大きな違いは、RPでは母音の前にある「r」は発音しますが、それ以外の場合の「r」は発音しない点です。
RPで「r」の発音をする単語の例 |
rose(rəʊz)、rain(reɪn)、rat(ræt)、erase(ɪreɪz) |
RPで「r」の発音をしない単語の例 |
water(wɔːtə)、car(kɑ:)、here(hiə)、guitar(gitaː) |
※アメリカ英語では、
water(wɔːtər)、car(kɑ:r)、here(hiər)、guitar(gitaːr)と、「r」の発音をします。
イングランド南西部の「r」の発音
基本的にイングランドでは、これまで説明しましたRPの「r」の発音と同じです。
しかし、イングランド南西部の「r」の発音は異なっています。
イングランドの南西部はウェストカントリー(West country)と呼ばれ、ロンドンの西部の西部にあり、グロスター、デヴォン、ドーセット、サマセット、コーンウォールなどの州を含む地域です。
ウェスト・カントリーの人々が話す英語のなまりは、ウェストカントリー・アクセントと呼ばれています。
実は、ウェストカントリー・アクセントは、RPとは異なり、母音の前でも子音の前でも「r」の発音をします。
つまり、ウェストカントリー・アクセントの「r」の発音は、アメリカ英語の「r」の発音に似ているのです。
✅詳しくはこちらの記事をご覧ください!
👉>>イングランド南西部の英語 ウェストカントリー・アクセント(West Country accent)とは?
アイルランドの「r」の発音
ウェストカントリー・アクセントと同じような傾向は、アイルランドでも見られています。
アイルラインドで話される英語のなまりは、アイリッシュ・アクセントと呼ばれています。
アイリッシュ・アクセントでの「r」の発音も、アメリカ英語にとてもよく似ているのです。
口を小さく横に開けてほほ笑むような形で舌を巻いて発音します。(アメリカ英語の” r “より口の開け方は小さいです)
このように、アイリッシュ・アクセントでも、RPとは異なり母音の前でも子音の前でも「r」の発音をするのです。
✅詳しくはこちらの記事をご覧ください!
👉>>「アイルランドの英語発音」にはどんなアクセントの特徴があるの?
個性的な「r」の発音(スコットランド、ウェールズ)
◆ スコットランドの「r」の発音 ◆
イギリスの北部にはスコットランドがあります。スコットランドは、独自の言語(スコッティッュ・ゲール語)があり、英語の発音にも影響を及ぼしています。
スコットランドで話される英語のアクセントはスコティッシュ・アクセントと呼ばれ、独特の発音をしているので、イングランドの人でも聞き取れないことも多いようです。
スコティッシュ・アクセントの「r」の発音も独特です。表現はしにくいのですが、舌を後ろに持ってくる時に上口蓋にタップするような感じです。舌を震わせる発音とも異なります。(なかなか記述が難しいです)
スコティッシュ・アクセントでは、RPと同じように「r」の発音は、母音の前だけで、子音の前では「r」の発音はあまりしないようです。
✅詳しくはこちらの記事をご覧ください!
👉>>スコットランドの英語アクセントはどんな特徴があるの?
◆ ウェールズの「r」の発音 ◆
ウェールズはグレートブリテン島の西側に位置し、独自の言語であるウェールズ語を持っています(ケルト系民族)。
ウェールズの人が話す英語のなまりは、ウェルシュ・アクセントと呼ばれ、ウェールズ語の影響もあり、独特の発音をします。
ウェルシュ・アクセントの「r」の発音は、スペイン語の「r」のように、舌を震わせながら発音します。2~3回くらい軽めに震わせる感じです。この発音がウェルシュ・アクセントの大きな特徴です。
ただ、RPと同じように「r」の発音は母音の前だけで、子音の前では「r」の発音はしないようです。
例えば以下のような単語です。
bright ⇒ brright brrright こんな感じ | |
roll ⇒ rroll rrroll | |
heard ⇒ hearrd hearrrd |
✅詳しくはこちらの記事をご覧ください!
👉>>ウェールズの英語 ウェルシュ・アクセント(Welsh accent)とは?
実はイギリス英語もアメリカ英語のように「r」を発音していた?
イギリスの歴史を考えますと、中世の中頃までのイングランドの中心地は、ウェセックスと呼ばれる地域でした。
ウェセックスは現在のイングランドの南西部(ウェストカントリー)に位置し、ウェセックスで話される英語が、イングランドの標準的な英語でした。
つまり、ウェスト・カントリーで話されている、アメリカ英語に似た「r」の発音が、中世のイギリス英語の標準であったのではないか、と推測できます。
さらに、シェイクスピアの時代にさかのぼると、現在のアメリカ英語の発音の様に、舌をしっかりまいて「r」を発音していた、と言われています。
つまり、もともとイギリスでも「r」は現在のアメリカ英語の様に、全て巻き舌で発音していましたが、近世~現代にかけてイギリス内で発音の変化が現れて、「r」の発音を省略するようになった、と考えられます。
言語はとても面白いですね。
✅詳しくはこちらの記事をご覧ください!
>>シェイクスピアの発音はイギリスの標準的な発音(PR)とどう違うの?
最後に一言
いかがでしたでしょうか?
イギリスの様々な「r」の発音や、歴史について興味を持っていただけたでしょうか。
いろんな「r」の発音を試してみて、クールな英語を話せるようになってくださいね。
この記事が少しでもお役に立ったのでしたら、有難いです。
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