フラッピングT(フラップT)とはどんな発音?発音の方法と単語例を分かりやすく説明
- 2021.10.09
- 英語の発音、アクセント 連続発音(リンキング他)

英語の発音の中には、リンキング(連結)、エリジョン(脱落)、アシミレーション(同化)など、単語と単語をつなぐと発音が変化する場合があります。
また、特定のスペルの組み合わせがあったとき、独特の発音をする場合があります。
今回は、特性のスペルの組み合わせで発音が変わる「フラッピング」について、
- どんな時の発音なのか
- どうやって発音するのか
- 単語例
を説明します。主にフラッピングT(フラップT)の説明になります。
※参考記事(単語と単語をつなぐと発音が変化するconnected speechについて)
<連続発音(connected speech)の種類>
・リンキング・サウンド(連結:linking sound)
・イントルーシヴ・サウンド(嵌入音: intrusive sound):リンキングに関連
・エリジョン/リダクション(脱落:elision/reduction)
・アシミレーション(同化:assimilation)
・英語の母音 イ、エ「i、i:、e、ei」はどの様に発音するの?(動画付き)
・イギリス英語とアメリカ英語の違いを詳しく解説(発音、単語、文法、表現、スペル、読み方)
・英語の2種類のLの発音。ライトL、ダークLの発音の仕方
・英語のいろんな母音の発音 ア「ʌ、ə、ɜ、æ、ɑ」はどう違うの?(動画付き)
フラッピングT(フラップT)とはどんな発音?発音の方法と単語例を分かりやすく説明
フラッピングとは?フラッピングT(フラップT)とは?
英語に独特の発音であるフラッピング(はじき音)は日本語では「弾き音(はじきおん)」と呼ばれています。
主にフラッピングは特定の「t」の発音をする場合に起こる場合が多く、この場合にフラッピングTまたはフラップTと呼ばれています。
舌先を上歯茎の部分につけて弾くようにして発音する方法です。
フラッピングTの発音方法
フラッピングTの発音の方法を、もう少し詳しく説明しますと、以下の流れになります。
<フラッピングTの発音方法>
①舌がフラットな状態から
②舌先を上歯茎に部分を弾くように(打つように)して
③舌先を口の奥に移動させる
④舌先を弾くときに声を発する
英語圏の人にはダ行のように聞こえ「t」の代わりに「d」で表されることが多いです(実際の発音記号は「ɾ」です)。日本人にはラ行のように聞こえる人もいます。
これは、舌先を上歯茎ではじくやり方が、日本語のラ行を発音するときに少し似ている(日本語のラ行では上歯茎にちょんと当てる程度ですが)からです。
例えば、 shut up!(静かにしなさい!)の発音の際に、フラッピングTが現れます。
スペル通りの発音では、「シャットアップ」ですが、「t」の部分をフラッピングで発音しますと、欧米人にはshudup(シャダップ)、日本人にはシャラップのように聞こえます。
このダ行やラ行に聞こえるフラッピングTが、代表的なフラッピングです。
※フラッピングTの方法はこちらの動画も参考に!
フラッピングT(フラップT)が起こるルール(起こる場合、起きない場合)
「t」の発音は、すべてフラッピングTで発音するわけではなく、次のルールがあります。
<フラッピングTが起きる条件>
①「t」が母音で囲まれる場合、Rと母音で囲まれる場合
②かつストレスが「t」の前にある場合
この①②は、単語の中で起こる場合、単語と単をつなぐリンキング(結合)で起こる場合があります。こちらは後に、詳しく例を挙げながらご説明します。
逆に次の場合にはフラッピングTが起きません。
<フラッピングTが起きない場合>
・「t」の前が子音の場合:stock、picture、doctor、after
※ただし、「t」の前が「n」の場合はフラッピングTが起こります(後で説明します)
・「t」が単語の最初、または単語の最後の場合:table、top、tall、wait、hit
・「t」の後にストレスがある場合:potato、station、hotel
※potatoの1つ目の「t」はフラッピングTは起きなく、2つ目の「t」はフラッピングTです
フラッピングが起きる英語と起きない英語(アメリカ英語vsイギリス英語)
アメリカ英語はフラッピング発音をします。一方、イギリス英語ではフラッピングは使いません。
これは、イギリス英語ではしっかりと「t」を発音する傾向があるためです。(地域によって、「t」の発音を落とす場合もあります)。
ですので、アメリカ英語の場合とはかなり違って聞こえます。
オーストラリア英語では、単語によってフラッピングを使う場合と使わない場合があります(特にルールはありません)
その他のフラッピング
これまでのご紹介したフラッピングTの他にも、フラッピングを使用する場合があります。
そのほか、
・鼻音になる「n+t」のフラッピングT
・「d」の発音の際にあらわれるフラッピングD
があります。次からの具体例で詳しく紹介します。
フラッピングの具体的な単語例
フラッピングTの例(2つのパターン)
フラッピングTが起きるのは、次の2つのケースがあります
<フラッピングTの2つのケース>
・単語内でフラッピングTが起こる場合
・単語と単語をつなぐリンキング(結合)で、フラッピングTが起こる場合
それぞれの例をご紹介します。
①単語内でフラッピングTが起こる場合
フラッピングが起こらない「イギリス英語」と、フラッピングを活用する「アメリカ英語」を比較しました。アメリカ英語でフラッピングTで発音する部分は「d」で表現しています。
単語例 |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
better |
be/tə/ |
be/dər/ |
water |
wɔ:/tə/ |
wa:/dər/ |
native |
nei/ti/v |
nei/di/v |
writing |
rai/ti/ŋ |
rai/di/ŋ |
bottom |
bɒ/tə/m |
ba/də/m |
②リンキングでフラッピングTが起こる場合
1つの単語ないではフラッピングは起きませんが、リンキングで単語と単語がつながると、フラッピングTの条件を満たして、フラッピングTが起きる場合があります。
こちらも、
単語例 |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
get out | ge/taʊ/t ゲタウト |
ge/daʊ/t |
shut up |
ʃʌ/tʌ/p シャタップ |
ʃʌ/dʌ/p シャダップ、シャラップ |
not at all |
nɒ/ta/tɔːl ノッタトー |
nɒ/da/dɔːl ノッダドー、ドッラッロー |
get in |
ge/ti/n ゲッティン |
ge/di/n ゲッディン、ゲッリン |
✅ リンキングに関する詳しい内容はこちらの記事をご覧ください
・リンキング・サウンド(連結:linking sound)
その他のフラッピング
「n+t」の場合のフラッピングT
フラッピングTの起きる条件の1つとして
・「t」が母音で囲まれる場合、Rと母音で囲まれる場合
と説明しましたが、母音で囲まれない場合の例外があります。
それは、「t」の前に「n」が来る場合です。この場合も発音の流れは(舌の動き)、フラッピングTと同じですが、発音はナ行のようになります。
「n+t」フラッピングTの条件は、
・「t」の前の発音が「n」、「t」の後の発音は母音であり
・かつストレスが「t」の前にある場合
です。
※発音の仕方はこちらをご覧ください
>>英語 アメリカのTの発音② twentyとcottonの発音( tn とnt の発音)
<フラッピングT(n+t)の単語例>
twenty | 「トゥウェニー」のように聞こえます |
internet | 「イナーネット」のように聞こえます |
center | 「セナー」のように聞こえます |
フラッピングD
フラッピングは「t」だけでなく「d」の発音にも起こる場合があります。
と言うのも、「t」と「d」の発音は、「t」は無性音、「d」は有声音の違いだけで、口の形や舌の位置は同じでにも起こることが要因として挙げられます。
フラッピングDの条件は、フラッピングTと同じく
・「d」が母音で囲まれる場合、Rと母音で囲まれる場合
・かつストレスが「d」の前にある場合
です
<フラッピングDの単語例>
wedding | 「ウェリング」のように聞こえます |
kidding | 「キリング」のように聞こえます |
riding | 「ライリング」のように聞こえます writingのフラットTの場合と、ほとんど同じ発音です |
(That ) kid is (cute) | 「キリズ」のように聞こえます |
最後に:表とまとめ
いかがでしたでしょうか?
フラッピングT、その他のフラッピングについてご理解いただけたでしょうか。
最後に今回ご紹介したフラッピングのまとめとして、一覧表を作りました。
フラッピングの種類 | 単語例 | |
フラッピングT | 単語内のフラッピングT | water / writing |
リンキングのフラッピングT | shut up / get out | |
n+tのフラッピングT | internet / center | |
フラッピングD | 単語内/リンキングのフラッピングD | riding / kid is |
この記事が、英語の発音を勉強する際のお役に立てますと、ありがたいです。より英語に親しんでいただけますと嬉しく思います。
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