英語のエリジョン/リダクションとは(Elision/Reduction)?具体的な例とリンキングとの違い
- 2021.10.16
- 英語の発音、アクセント 連続発音(リンキング他)

英語で複数の単語をつなげて発音することを「連続発音(connected speech)」と呼んでいます。
この連続発音の1つがエリジョン/リダクション(elision / reduction)になります。
英語の学習者にとって、ネイティブが流暢に発音すると聞き取りにくいのは、この連続発音があることが1つの原因になっています。
連続発音の種類とルールを理解するとリスニング力が上がりますし、話すときもネイティブに近い発音が出来るようになります。
連続発音(connected speech)には、4種類が挙げられます
<連続発音(connected speech)の種類>
・リンキング・サウンド(連結:linking sound)
・イントルーシヴ・サウンド(嵌入音: intrusive sound):リンキングに関連
・エリジョン/リダクション(脱落:elision/reduction)
・アシミレーション(同化:assimilation)
リンキング (Linking sound) |
単語の最後と次の単語の音がつながり、あたかも1つの単語のように発音することです |
嵌入(intrusive sound) | リンキングを行う場合、単語と単語の間に新たな音を挿入して発音することです |
エリジョン/リダクション (Elision/Reduction) |
単語と単語をつなぐ場合、最初の単語の最後の音を発音しない、またははっきりと発音しないことです |
アシミレーション(Assimilation) |
単語と単語の音をつなぐ場合、別の音に変化することです |
今回は、エリジョン/リダクション(Elision/Reduction)について詳しく説明いたします。
・英語の母音 イ、エ「i、i:、e、ei」はどの様に発音するの?(動画付き)
・イギリス英語とアメリカ英語の違いを詳しく解説(発音、単語、文法、表現、スペル、読み方)
・英語の2種類のLの発音。ライトL、ダークLの発音の仕方
・英語のいろんな母音の発音 ア「ʌ、ə、ɜ、æ、ɑ」はどう違うの?(動画付き)
英語のエリジョン/リダクションとは?(Elision/Reduction):具体的な例とリンキングとの違い
エリジョン/リダクションの3つの種類
単語の最後と次の単語の音がつながり、あたかも1つの単語のように発音することを連続発音(connected speach)と呼びます。その中で「子音と子音」をつなげるときに、1つの子音を落とす場合のことを、エリジョン(またはリダクション)と分類しています。
※今後、文章中ではエリジョンと表現いたします
エリジョンは様々なケースがありますので、4つのパターンに分けて分かりやすく概略を説明します。
<エリジョン/リダクションの種類>
①「破裂音」+「子音」:破裂音をはっきりと発音しない
②「破裂音」+「子音」:破裂音を発音しないケース(エリジョンT、エリジョンD)
③「破裂音」+「破裂音」:前の破裂音を発音しないケース
④「子音」+「同じ子音」:前の子音を発音しない
破裂音も子音ですが、エリジョンが起こる場合は、破裂音が関わるケースがとても多いため、あえて破裂音とその他の子音を分けました。
①~④を見てわかるように、エリジョンが起こる場合の多くは、破裂音が関わっていることが分かります。
破裂音には有声音と無声音があり、それぞれ3種類あります。
・破裂音(有声):d、b、g
・破裂音(無声):t、p、k
※その他の子音には、摩擦音、破擦音、鼻音があります
※筆者意見:いろんな場合があり、混乱するかもしれません。しかし、よく見てみると「子音」+「子音」で単語をつなぐ場合は、最初の子音の発音を落とせば無難であることにも気が付きます。
◎①エリジョン/リダクション「破裂音」+「子音」:破裂音ははっきりと発音しない
「破裂音+子音」で語と語をつなぐ場合(後ろの子音は最初の破裂音とは異なる場合です)、最初の破裂音ははっきりと発音しません。
この時、口の形や舌の位置は発音する状態にはなっています。
しかし、早口のときには発音しなかったり、人によっては発音しない場合もあります。
次に例を紹介します。
例 | 発音 ()内ははっきり発音しない | |
Sit down | si(t) daʊn | シッ(ト)ダウン |
I’d like | ai(d) laik | アイ(ド)ライク |
Good news | ɡʊ(d) njuːz | グッ(ド)ニューズ |
cheap trick | tʃiː(p) trik | チー(プ)トリック |
quick chat | kwɪ(k) tʃæt | クウィッ(ク)チャット |
Could be | kʊ(d) bi: | クッ(ド)ビー |
②エリジョン/リダクション「破裂音」+「子音」:「破裂音」を発音しないケース
先ほどは「破裂音」+「子音」の組み合わせで、破裂音をはっきりと発音しないケースを紹介しましたが、破裂音を全く発音しない場合があります。
・子音に囲まれた「t」「d」は発音しない
それぞれ簡潔に説明いたします。
子音に囲まれた「t」を発音しない(エリジョンT)
最初の子音が「t」で、その前後に子音がある場合です。この場合、「t」は発音しません。
例 | 発音 ()内は発音しない | |
want to | wɒn(t) tu: | ウォントゥ |
can’t do | ka:n(t) du: | カーンドゥ |
子音に囲まれた「d」を発音しない(エリジョンD)
エリジョンTと同じように、最初の子音が「d」で回りが子音に囲まれているとき、「d」の発音は落とします。
例 | 発音 ()内は発音しない | |
My friend went to ~ | fren(d) went | フレンウェント |
I’ll send them ~ | sen(d) ðem | センゼム |
③エリジョン/リダクション「破裂音」+「破裂音」:最初の破裂音を発音しないケース
「破裂音」と「破裂音」で単語をつなぐ場合、最初の破裂音を発音しない場合があります。多くの場合、後ろの破裂音が「p」「b」のように、唇を閉じて発音する破裂音であることが分かります。
ここでは4つの例をご紹介します。
・母音+「t」+「k」の場合
sit down のように、母音+「t」+「子音」の場合の「t」は、はっきり発音しないと説明しました。
しかし、母音+「t」+「k」と子音が「k」の場合、「t」の発音は落とします。
例:credit card、white candle、important customer
・「t」+「p」の場合
「t」の後の子音が「p」の場合、「t」の発音は落とします。
例:great park、white paper、white panda
・「d」+「b」の場合
「d」の後の子音が「b」の場合、「d」の発音は落とします。
例:speed board、 bad boy、good time
・「b」+「p」の場合
この場合も、「b」の発音を落とします。
例:club party、Bob puts~、job posting
エリジョン/リダクション :同じ子音が続くケース(最初の子音を発音しない)
同じ子音が続く場合も、エリジョンが起こります。
興味深いのは「l+l」の場合です。
例に挙げているanual leaveのでは、最初の「l」の発音はダークエルで、2つ目の「l」の発音はライトエルですが、エリジョンが起こると、最初の「l」が落ちてライトエルだけの発音になります。
例 | 発音 ()内は発音しない | |
red dragon | re(d) dræɡən | レッドラゴン |
cheap piano | tʃiː(p) piænəʊ | チーピアノ |
big game | bi(g) ɡeɪm | ビッゲイム |
hot towel | hɒ(t) taʊəl | ホットラベル |
annual leave | ænjuə(l) li:v | アニューアリーヴ |
waterproof fabric | wɔːtəpruː(f) fæbrɪk | ウォータプルーファブリック |
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回のエリジョンについてご理解いただけたでしょうか。
※筆者意見:いろんな場合があり、混乱するかもしれません。しかし、よく見てみると「子音」+「子音」で単語をつなぐ場合は、最初の子音の発音を落とせば無難であることにも気が付きます。
この記事が、英語の発音を勉強する際のお役に立てますと、ありがたいです。より英語に親しんでいただけますと嬉しく思います。
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