イギリス英語の母音の発音方法(口の形、舌の位置) 短母音・長母音・二重母音
- 2021.04.21
- イギリス英語のアクセント 英語の発音、アクセント

英語母音の発音には短母音、長母音、二重母音があります。
・短母音:「ʌ」「ə」「æ」「ʊ」「ɒ」「i」「e」
・長母音:「ɜ:」「ɑ:」「ɔ:」「i:」「u」
・二重母音:「eɪ」「aɪ」「ɔi」「aʊ」「əʊ」「ɪə」「eə」「ʊə」
英語は、短母音と長母音で12種類、二重母音は8種類、合計20種類の母音があります。
日本語の母音は基本的に「あ、い、う、え、お」の5種類で、長母音はそれぞれを長く伸ばすだけで、二重母音はあまり多くはありません。
※英語の場合、短母音と長母音は発音が異なります
英語の母音は、それぞれどのように発音するのでしょうか?
今回は英語の母音の発音で(イギリス英語)、口の形と舌の位置・動きについて、日本語の発音と比較しながら分かりやすく説明をします。
短母音、長母音で分けずに、日本語の音に近い発音で比較しました。
※イギリス英語の標準的な発音R.P.(Recieved Pronunciation)をベースにしています。
・イギリスの上流階級で話される英語 Posh Englishの表現と発音
・イギリス英語とアメリカ英語の違いを詳しく解説(発音、単語、文法、表現、スペル、読み方)
・イギリス英語が楽しめるおススメの映画・ドラマ
イギリス英語の発音~母音・長母音・二重母音~
「ʌ」「ə」「ɜ:」「æ」「ɑ:」の発音のしかた
英語の発音「ʌ」「ə」「ɜ:」「æ」「ɑ:」は、日本語で表記しようとすると、どれも「ア」か「アー」になってしまいます。
しかし、いずれも発音は異なりますし、「日本語のア」とも違っています。このため、日本人にとっては区別がとても難しいです。
しかし、口の開け方や舌の位置を意識すると、それぞれの発音に違いが分かってきます。
日本語よりも英語の発音の方が、口を縦横に大きく開け、舌先も前後・上下によく動かすことが分かります。
まずは、日本語の「ア」の発音を意識してみましょう。
日本語の「ア」の発音
まず、口の開け方と、舌の位置に注意しながら、日本語の「ア」を発音してみましょう。
<日本語の「ア」の発音>
・口の開け方: 縦方向に中くらいに開けます
・舌先の位置: やや前で口の底部に横たわっている
この「ア」の感覚を覚えておいてくださいね。
次にそれぞれの英語の発音を、日本語の「ア」と比較しながら口の開け方と舌先の位置を説明します。
英語の「ʌ」の発音
英語の「ʌ」は、日本語の「ア」に最も近い発音です。
<英語の「ʌ」の発音>
・口の開け方: 日本語の「ア」より縦方向に大きめに開けます
・舌先の位置: 日本語の「ア」の位置から舌先をやや持ち上げます
(人によって、舌全体はやや奥に引っ込めます。)
>>ネイティブによる発音例(BBC)
「ʌ」を発音するときは、日本語の「ア」よりも短めに発音します。
単語例: blood(blʌd)、cup(kʌp)、cut(kʌt)、company(kʌmpəni) |
英語の「ə」の発音
「ə」の発音はイギリス英語では頻繁に用い、とても重要な発音です。(schwa sound(シュワ、と呼ばれています)
<英語の「ə」の発音>
・口の開け方: 日本語の「ア」よりもやや小さく、軽く楽に開けます
・舌先の位置: 日本語の「ア」の位置から舌をやや持ち上げて宙に浮かせた状態です
>>ネイティブによる発音例(BBC)
「ə」を発音するときのポイントは、口も舌も力を抜いてリラックスさせることです。口の大きさ、舌先の位置も中間(前後、上下方向で真ん中)、小さく弱めに発音します。
単語例: about(əbaʊt)、letter(lettə)、the(ðə)、water(wɔːtə)、nation(neɪʃən)、chocolate(tʃɒklət)、London(lʌndən) |
<英語の「ɜ:」の発音>
英語の「ɜ:」の発音は、「ɜ」と短く音することはなくと長く伸ばします(長母音)。
日本語の「アー」と近い音になりますが、舌先の位置が異なっています。
「ɜ:」は「ə」とほぼ同じ発音ですが、「ə」よりもしっかり発音するため力が入ります。このため、口の開け方と舌先の位置が若干ことなります。
<英語の「ɜ:」の発音>
・口の開け方: 「ə」よりも口を微妙に大きく開け、日本語の「ア」の開け方に近いです
・舌先の位置: 日本語の「ア」の位置から舌をやや持ち上げて宙に浮かせた状態ですが、「ə」より舌先がやや下がります。
>>ネイティブによる発音例(BBC)
単語例: bird (bɜːd)、learn(lɜːn)、nurse(nɜːs)、girl(gɜːl) |
英語の「æ」の発音
英語の「æ」はアメリカ英語では「エ、ア」が混ざった二重母音のように発音しますが、イギリス英語は「e」の音は入らずシンプルに発音します。
「æ」を発音するときのポイントは、口大きく開け声を前に押し出すように発音します。
単語例: cat(kæt)、lap(læp)、back(bæk)、apple(æpl) |
英語の「ɑ:」の発音
短母音の最後は「ɑ:」の発音です。「ɑ」は短母音ではなく、「ɑ:」と長く発音する長母音です。
※アメリカ英語では、イギリス英語の「ɒ」の代わりに「ɑ」の短母音があります。この記事で後ほど説明します。
「ɑ:」を発音するときのポイントは、歯医者に行ったときや、医者でノドの奥を見せるときに、「口を大きく開けてアー」と言う時の感じです。
単語例: father(fɑːðə)、hard(hɑːd)、start(stɑːt)、staff(stɑːf) |
✅ こちらの記事でもさらに詳しく説明しています
・英語のいろんな母音の発音 ア「ʌ、ə、ɜ、æ、ɑ」はどう違うの?(動画付き)
「ʊ」「u:」、「ɒ」「ɔ:」、「i」「i:」、「e」の発音のしかた
英語の発音「ʊ、u:」「ɒ、ɔ:」「i、i:」「e」を日本語で表記しようとすると、「ウ、ウー」「オ、オー」「イ、イー」「エ」となります。
しかし、いずれも日本語の発音とは違いますし、短母音と長母音では口の形、舌先の位置が異なります。
「ア」の時と同じように、日本語の発音とも比較しながら、ポイントを説明します。
英語の「ʊ」の発音
日本語の「ウ」の発音は、口を小さくすぼめて(口笛を吹く形)、舌先は中ほど~前方に位置しています。
これに対し、英語の「ʊ」の発音は、「ウ」よりも口を大きく開け、リラックスして発音します。
日本語の「ウ」と「オ」の音の中間のイメージです。
<英語の「ʊ」の発音>
・口の開け方: 日本語の「ウ」よりもやや大きめに開け、唇はやや丸めます
・舌先の位置: 日本語の「ウ」の舌先はやや前方にありますが、「ʊ」は宙に浮いた状態でやや奥に引っ込めます
>>ネイティブによる発音例(BBC)
単語例: look「lʊk」、foot「fʊt」、put「pʊt」、book「bʊk」 |
英語の「u:」の発音
英語の「u:」の発音は短母音ではなく、長く伸ばした長母音のみになります。
先ほどの短母音「ʊ」よりも、日本語の「ウ」よりもさらに口はすぼめて発音します。
「u:」を発音するときのポイントは、キスをするときのように口を丸めて前に突き出すイメージです。舌はややカールさせて、奥に引っ込めるイメージです。固めの音になります。
単語例: cool「ku:l」、fool「fu:l」、true「tru:」、school「sku:l」 |
英語の「ɒ」の発音
次は英語の「ɒ」の発音です。
日本語の表記では「オ」と似てはいますが、口の大きさや舌の位置は、だいぶ異なります。
日本語の「オ」は「ウ」よりも口を縦に大きく開け、舌は奥の方に引っ込めます。
これに対し「ɒ」の発音は、「オ」よりも口を縦に開け、舌をさらに奥に引っ込めます。
<英語の「ɒ」の発音>
・口の開け方: 日本語の「オ」よりも縦に大きくあけます
・舌先の位置: 日本語の「オ」よりもぐっと口の奥の方に引っ込めます。口の中の空間が大きくなるので、ややこもった音になります
>>ネイティブによる発音例(BBC)
「ɒ」の発音は、先ほど説明しました英語の「a:」の発音と似ており、「a:」より唇を丸めて発音します。このため、「オ」と「ア」の中間のようにも聞こえます。
単語例: lot「lɒt」、hot「hɒt」、lock「lɒk」 |
この「ɒ」の発音は、イギリス英語に特有の発音で、アメリカ英語では代わりに「a」と発音します。この「a」の短母音はイギリス英語には無く、長母音の「a:」や後で説明する二重母音の「ai」「aʊ」に含まれています。
英語の「ɔ:」の発音
英語の「ɔ:」は日本語の「オー」に比較的近い発音です。「ɔ」の短母音は無く、長母音と二重母音の「ɔi」に含まれます。
<英語の「ɔ:」の発音>
・口の開け方: 日本語の「オー」に近い開け方で「ɒ」より小さく開けます
・舌先の位置: 日本語の「オー」のように舌を奥に引っ込めますが、宙に浮かせた状態にします
>>ネイティブによる発音例(BBC)
単語例: law「lɔ:」、more「mɔ:」、saw「sɔ:」、ball「bɔ:l」 |
英語の「i」の発音
「i」の発音は比較的、日本語の「イ」に似ています。
日本語の「イ」は口は軽く開けた状態で、舌の奥の方が口の上部についていることが分かります。
これに対し「i」の発音は舌の位置が異なります。舌の奥は上部にはつかず、浮いた状態です。
このため口の中の空間が大きくなり、日本語の「イ」と「エ」の中間位にも聞こえます。
<英語の「i」の発音>
・口の開け方: 日本語の「イ」より、縦横に少し大きめに開けます。しかし、力は入れずリラックスさせます。
・舌先の位置: 上の歯の先端付近で、リラックスして口の中で浮かんだ状態です。
>>ネイティブによる発音例(BBC)
単語例: sit「sit」、bit「bit」、it「it」 |
英語の「i:」の発音
英語の「i:」は長母音で、「i」を伸ばすのではなく、「i」と比べて口の形も舌の位置も異なります。
日本語の「イー」とも異なり、興味深い音です。
<英語の「i:」の発音>
・口の開け方: 日本語の「イ」より、横に大きく広げます(ビッグスマイル)
・舌先の位置: 日本語の「イ」と同じように、舌の奥の部分が口の上部につけます(舌先はつけません)。舌先は宙に浮いており、やや奥に引っ込めます。
>>ネイティブによる発音例(BBC)
短母音の「i」はリラックスした状態で発音しますが、「i:」は力が入りちょっと緊張した状態になります
単語例: beach「bi:tʃ」、peach「pi:tʃ」、sheet「si:t」、keep「ki:p」 |
英語の「e」の発音
日本語の発音は、比較的口を横に広げないことに気が付きます。「ア」「イ」「エ」の発音では、横方向の広げ方はほとんど変わらず、縦方向の変化で音が変わります。舌の動きも小さいことが分かります。
日本語の「エ」の発音は、「ア」と「イ」の中間くらいに口を開け、舌の位置は「ア」とほとんど変わらず、口の下部にあることが分かります。
これに対し英語の「e」の発音は、口を大きく開けて前方に押し出すように発音するので、はっきりした音になります。
<英語の「e」の発音>
・口の開け方: 日本語の「エ」よりも、縦にやや大きく開けます。特に横にも大きく開けます(ビッグスマイル)。
・舌先の位置: 舌先は上下の前歯の間くらいにあり、口の中で浮いた状態です
>>ネイティブによる発音例(BBC)
単語例: men「men」、set「set」、bed「bed」、get「get」 |
✅ こちらの記事でもさらに詳しく説明しています
・英語の母音の発音 ウ、オ「ʊ、u、ɒ、ɔ」はどの様に発音するの?(動画付き)
・英語の母音 イ、エ「i、i:、e、ei」はどの様に発音するの?(動画付き)
英語の二重母音の発音
日本語にも二重母音はありますが、多くの場合は長母音に変化させてしまいます。
例:おう(オー)、えいが(えーが)、おおさか(おーさか)
例:あい、うえ、おい、等は二重母音になっています
一方、英語には8種類の二重母音があります。
英語の二重母音:「eɪ」「aɪ」「ɔi」「aʊ」「əʊ」「ɪə」「eə」「ʊə」
それぞれの2重母音の発音は、これまでに説明した短母音の組み合わせで、連続的に短母音を発音します。
基本的には、それぞれの短母音の発音の仕方を見ていただければ良いです。
ただ二重母音に含まれる「a」と「ɔ」は短母音には存在しませんが、長母音の口の形と舌の位置は同じで、短く発音します。
※「əʊ」の二重母音はイギリス英語に特有で、アメリカ英語では「oʊ」となります。
✅ 8種類の2重母音についての詳細は、こちらの記事をご覧ください!
>>英語の発音 2重母音(diphthong)を動画で学ぼう
最後に一言
いかがでしたでしょうか?
ご紹介してきましたように、英語には数多くの母音があります。いずれも日本語の発音には無く、英語を勉強する上で、とても苦労すると思います。
しかし、口の開き方と舌先の位置を理解すると、ネイティブの発音も聞き取りやすくなり、よりネイティブに近い発音ができるようになります。
この記事が、英語の発音を勉強する際のお役に立てますと、ありがたいです。より英語に親しんでいただけますと嬉しく思います。
・イギリスの上流階級で話される英語 Posh Englishの表現と発音
・イギリス英語とアメリカ英語の違いを詳しく解説(発音、単語、文法、表現、スペル、読み方)
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